十一室目、後半。
「6番の先輩大丈夫ッスか、うわ、」
「あー、ごめ、うー、くっぞ、」
「あー久しぶりに負けて号泣ッスか、」
「あーダメちょっとお前こっち見んな、あーくそマジ悔しい何だアイツ超強え、」
「5番の人ッスか」
「そう、あーもう銃三連で合間に三本目打って二本で追い詰めてきて追い詰めてる途中でこっちが体勢崩した隙にだけ残り弾数少ないやつだけ充填換えての繰返しで銃だけじゃなくて脚も物も使うし銃一弾も無駄にしねえしクッソ怖えええええマジやべえこんな相手、あー、」
「…そのままにしてあげたいッスけど、そろそろ騒ぎが大きくて外から人来そうなんで俺達専用非常口から出るッスよ、…聞いてます?」
「おっスミスちゃんおかえり~」
「ただいま…何か変な面接だったわ…」
「あ~やは?」
「やはやはよ…」
「スミスもうクタクタだねえ」
「シャワー行っちゃいな~待ってるから」
「ええ…行ってきます…」
「いってら~」
「にしてもさあ、変な内容だったよねえ」
「あれでセクハラ発言あったらマジここ出た後で訴訟だよねえ」
「できんの? 相手わからんじゃん、」
「まーね、あーでも皆何て答えたんだろ、特にブライアンちゃんとか」
「後で聞こうよ」
「だね~」
「あーもークソみたいなスパイ女のせいで俺のRANちゃんの元に行く時間がおしちまったじゃねえか」
「あーホント乙だわそれ」
「こんな時にまで日本語使うな勉強家かよつか同じコワーキングスペース会社で作業してて良かったわオイ早く行くぞ、」
「待てこのコピー肖像画の女の子、」
「俺達のRANちゃんだ間違った俺のRANちゃんだよ後でくれてやるから、」
「なっ、あー! お前俺のRANちゃんが爆破され、なっ何、何で全部爆破してんだよテメエ!」
「外部からの人間がこれ見てかっさらっちまうかもしんねえだろそんな事させねえ、大丈夫だ絵が一ミリも残んねえように爆破加減調節してあるから、」
「お前後で原画見せろよ絶対だからな」
「うるせえな見せるか」
「見せろよ絶対だからなじゃねえと俺のRANちゃん爆破されたまんまだろうが」
「俺のって言ってんだろうが、ってうわっ不審者かよ!」
「ちょっと二人共早くしろ」
「あっその声本当の7番目の先輩、」
「後でぜってえ見せてもらうからな」
「何でだよ」
「この画像と交換条件でどうだ」
「あ? 何でテメエがこんな画像持ってんだ俺持ってねえぞこんな可愛い瞬間!」
「オイくそガキ共殺されてえか」
「「とんでもねえです」」
「乗れ」「「イエス・サー!」」
「失礼します、」
『筆記試験四番終了者、マリア・ブライアン、これより面接試験を開始します、』
「宜しくお願いします」
『貴女は生まれは元々違う家ですか?』
「はい、その通りです」
『…何故今の家に?』
「詳しくは言えませんが、仕事で入りました」
『…次の質問です、元の家族とはどんな関係でしたか?』
「仲は良いとは思いますが、接触は避ける家でした。同性はまだしも異性は血縁であっても避けるべきの考えの家でした、血縁以外は親しい友人等の気を許せる相手なら許容の考えで、同じ考えの人達としか付き合いはありませんでした」
『…、次に試験内容について。答案用紙の枠外にまでギッシリ書いていましたが、何故ここまで書いたのですか?』
「枠内では自分の持つ回答内容が足りなかったからです、試験失格でしょうか?」
『その可能性がある事を考えた上で書いたの?』
「もしそれでダメならその時考えます」
『受動的過ぎない?』
「…別にお叱りや罰を受けたくてやったわけではありませんが」
『ブフッ、『ちょっ、あの、…、』…失礼、』
「…後はどのような質問が?」
『ああ、そうだね、次に筆記の中の心理テストについてだ、君は四つある選択肢の中でどれも選択しないと枠外に記入した。何故だ?』
「私はその中のどのお姫様にもなれませんしなりようが無いからです」
『ほう、なれないと?』
「別の人間についての話ですし、仮に物語がなりきりをさせたいのであっても私がなりたい人生ではありませんでした、そこに私の物理的な知り合いはどこにもいない時点でもう価値はありません」
『…、『ちょっと、あの、…、』グスッ、ああいや、失礼、…っ、成程、仮になれるとしたら?』
「…しつこいって言われませんか…?」
『言われる!『ちょっと!』失礼、まあ聞かせてみてくれないか』
「物理的に別の人間の時点で私はその人物になる理由が塵もありませんし、逆も有り得ません。たまに人格が入れ替わる話がありますがそのようなケースを問うてらっしゃるのであればあれは脳が勘違いを起こした結果で気色悪いUMA側、その、一種の精神障害者であるかと思われますが、私がその件について考える必要はありません、現実でその問題に突き当たる事は有り得ないからです」
『…、『黙らない感服しない!』…成程ありがとう、では次の質問に移ろう、白雪姫の童話への率直な感想をどうぞ』
「不法侵入罪の人物の話だと思いますが私が人生を共に生きる人達の中にはいない人達の話だと思います」
『…ハア…、痛ッ、痛、ごめんごめん、…、質問は残り一つ、その後で君からの質問を受け付けます、最後の質問、本日午前の賭け事の内容について。何故あの内容を選んだのかな』
「合っているかどうかを確認できる良い機会だと思ったからです」
『…そうか、OK。質問は以上だ、次は君からの質問を受け付けよう。三つまで可能だが全てに真実を言えるわけではない事のみ了承してくれ。さあ、質問をどうぞ』
「この建造物に使われている窓硝子の会社は昨年スタートアップしたばかりの会社ですが、彼の会社は何故起用したのですか?」
『…ちょっと教えられないかな。次、』
「…貴方はどこかの会社の社長かと私は浅はかな考えにより推測しておりますが、医療とオモチャ会社の二つは携わってますよね?」
『ははあ、まあ合ってる合ってないにしても教えられないなあ! …可愛い、『ちょっと、』すみません、…最後の質問は?』
「…最後の質問は、」
「あー無事全員脱出したってさ」
「OK、んじゃ建物爆破するなその前に一度リスト見せて、…ん、俺の方のキャッチリストと同じ人数だな、んじゃ爆破するか、」
「わあ…凄いねえ…あっ煙がちょっと熊の形になってる」
「可愛くはねえだろ」
「いや熊は可愛いよ獰猛で強暴で強くて頑健な動物は可愛いよ」
「そうかよ」
「あっブライアンちゃんおかえり~」
「案外早かったねえ」
「そうね、私達の時はちょっと長かったわよね」
「それね~何コツでもあったんIQ高いが故にわかるコツ?」
「え~教えてほしかったなあ」
「私達はこれから先に寝室に行っているけど、いいかしら?」
「あ、うん。大丈夫。行ってていいよ~」
「うん、じゃ、あっそうだ、八時に一旦集まらない?」
「あーいいねえ」
「ええ、そうしましょ」
「んじゃブライアンちゃん、八時に一旦化粧室集合で!」
「わかった、後でね、」
「うん、じゃね~」
「先行ってるわ」
「じゃお先い~、んでさあ、私の時の質問は…」
「…、」
「着いたらまずシャワー浴びようぜんで続けてプールだなその後で寝る」
「食事はどうしますかまだ余裕はあるみたいですけど」
「あー夜は軽食で朝は普通かな今は」
「俺も、この時間からだともうディナーの時間だもんなあ」
「それな」
「食事の時間どうしようか、全員は多いかもだよね広さ知らないけど」
「あー年齢層で分けて別の時間にしようぜ」
「あー君そういうとこいいよねえ、大人組後にする?」
「あーんでカクテル貰うか、」
「お酒は出ないそうですよ料理用しか置いてないらしいです」
「修行僧かよ!」
「残念だったね…私は甘い物欲しいなあ」
「甘い物なら提供可だそうです」
「マジ? 俺甘いのそんな好きじゃねえわ」
「3番の先輩に言ってんだよテメエ」
「いいだろ言ってもお前だって甘いの別に好きじゃねえだろ」
「スナック派だな」「だよな」
「スナック割と残ってるらしいです」
「「何で?」」
…休息時間、六。
「だー! ちょっと待って、出入り自由なんじゃないの?」
「迂闊だったわ…」
「え~ていうか隣の声あんまよく聴こえんしこれ~ねえミラー! 聴こえる~?」
「あ~、何か叫んでるのわかるけど内容くぐもる感じ~!」
「ありがと~! で、スミス~! 聴こえる~?」
「き、聴こえるわ…!」
「あっダメだ聴こえんスミス側は諦めるか」
「ブラウン? 聴こえる? 聴こえたわよ!」
「…まっ、いいか、」
「てか大声出してようやく内容くぐもって聴こえるレベルてちょっと防音凄くね?」
「あ~つかこんなんじゃ何もできないっつかマジこれ狭いじゃんどう寝ろっての? まあこの体人形だし別にいいか…」
「は~てかトイレ行っとけば良かったまあ一応行ってから来たけどさあ~とりあえずカプセルホテルかよっていう形だなあ…」
「あっ、何か変な音する、何これ、うわっ、何この臭い、やだ、」
「あーてかもしや何か変なガス流れてね? まあ人形の体だから全然なんだけどさあ~何かあっても問題無いけどこの人形分のお金マジ無駄ど~しよ、つかコレ市販と毒入り両方あるし今までと変わらんじゃんマジ運悪~」
「…何かスミスちゃん騒いでるぽいけどどーでもいいなあ…あんなバカの子さっさと別れちゃいたいし」
「先にそれらしく食べさせとこーかな、んでその後で私シャワー浴びよ~ちょっとそろそろ誰か交替してコレの操作~、」
「は~つか中入ってから開けてねってやつ開けたらこんな…水四リットルと市販の紙パックジュースだけって…重くてラッキーとか思った自分がバカだったわ…」
「ま~誰も見てないし適当に食べさせて、あっ朝食のやつ開いちゃったまあいいか、」
「…錆…、」
「…ちょっと船室っぽい、え、あっ開かない、…、…!」
「ぐへへコレ全部私のご飯だぜヒュフフ、んん…、」
「えーだからあ、ちょっとシャワー浴びたいんだってあと睡眠! ねえ~、」
「あ、アタシってば本当にダメな女、うああ、でもこんなアタシを求めてくれる王子様がきっといてきっとあの家から連れ去ってくれてラクな暮らしさせてくれて何もしなくていい生活、」
「八時に化粧室、だよね…、…、…、…ま、いいか、帰ろ」
「ハッ! 今何時、あっ時計はあんのか、あー、九時ぃ? …ドア開くならあっ開いた、ちょっと化粧室行ってみよっかな~」
「ねえ~コレの操作激むずなんだけどどうやってんの~? えっゲームと同じ? アタシ、ゲームしないからなあ~あっ腕じゃなくて脚動いた、う~ん、」
「あっ、ヤバい、ああでもコレ美味しい~、何か凄く美味しいけど変な味? でも甘あい、」
「…何か隣変な感じする、…、」
「は~化粧室二時間いたけど全然人来ねえ皆忘れてんのかな~でも時間過ぎてからだったしまあしょ~がないか寝ーよおっとマジあのクズ共ここ出たら二度と会いたくねえわ」
「あーそうあの子もう寝ちゃってさあ、アタシこれの操作全然わかんなくてえ、えっ何何どゆ事? え~やだあ何口説いてんのも~!」
「あっ…、オエップ…、グォブ…、ッオエ、…、アタシ何してたんだっけ? え、ていうかここどこ、何か狭くて暗くて怖い、あっ、やだ、やだ、やだあああああ、」
「…ん、…、」